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THINKING OUTSIDE THE BOX

SHOWA OKAMURA
CREATIVE POWER

Newsweek誌 1999年11月22号掲載記事

日本人アーティスト岡村昭和氏は、流れるようなフォルムを日本の伝統的な手漉き和紙の上に熱転写させるという独創的な工程で、切り絵の制作に殆どの時間を費やしています。ここに彼のクリエイティブの源泉となる見解を聞いてみました。
質問 創造性(creativity)についての特別の原理か考え方を持っていますか?
岡村 作品を創り出すという行為を実行するためには、単なる日常的なふるまい(behavior)とは異なる熱中精神を含んだ創造力が不可欠なことは当然ですが、私の場合、そうした「力の源泉」に関してあまり意識的に考慮したことはありません。強いて言うならば、「私であって私ではない」という感覚---私という「小さな国」から離れつつ、自在に「越境」を繰り返しながら、人間という不可解にして豊穰なる「大きな国」を巡ってゆくのだというある種のピルグルム感覚(巡歴感覚)の存在を自分の内部に感じています。それは男でもなく女でもない。女が男の世界へ、男が女の世界へと「越境」し、今までとは違った男と女に変容する。ピルグルム感覚で浮遊しながらの「越境」はAndrogynous 的世界への共感、そんなイメージに向かって旅しています。

自然界には、ひとつの個体に、メスとオスが混在しながら、Androgynousを生まれながらに体現した生きものが存在しているのをご存じでしょうか。突然変異したナガサキアゲハ(Ginandoromorph)は、右の羽がオス、左の羽がメスという両性具有形の生きものとして、森のなかを美しくも鮮やかに浮遊しているのです。

この不思議な蝶の存在を思うとき、私の内部にやわらかくて、みずみずしい解放感に満ちた波が打ち寄せてくるのを覚えます。性を自在に「越境」しあい、真の意味でのユニークな存在としての美しい生きものをも創造してしまう自然の生命力の「魔法」。こうした存在ほど、私の創造力に活力と新鮮なエナジーを与えてくれるものはありません。

質問 もっと創造的になりたい、考えたいという人々に、何を助言しますか?
岡村 平凡な答えかもしれませんが、「既成概念」に惑わされないことが、創造力の基礎であると思います。「男」「女」という言葉からあなたは何を連想し、何を否定し、何を肯定しますか? その安直なファースト・イメージをまず疑ってみることが、創造力を育み、鍛えてゆく第一歩であると、私は考えています。

 そうした考察、思索をぜひじっくりと試みてください。自分がいかに既成の出来合いのイメージや価値観に浸食され、左右されているかが次第に実感されてくるはずです。もちろん創造的になるためのコンビニエントなメソッドやマニュアルというものがあるわけではありません。創造力というものは、その人自身のもって生まれた資質によるところが大きいとは思いますが、生活環境・教育環境によっても左右されます。いずれにしても、「もっと創造的でありたい、自分を変化させたい」という自分自身の「感覚変換装置」のスイッチを、つねにON にしておくという気持ちの持ち方が大切なのではないでしょうか。

質問 日本での伝統派ではないモダン・アートの画家としての生活は?
岡村 私自身、とくにモダン・アーチストであるいう意識は持っておりません。わが国の偉大な俳人・松尾芭蕉は、「不易流行」(不変のものを知らずには基本ができない、流行をしらずにはいいものは生まれない)という言葉で芸術の本質を伝えていますが、当時の芭蕉自身は、時代の先端を歩むモダン・ポエットでした。日本の社会には、歌舞伎や日本画といった伝統芸術は存在していますが、「伝統」対「モダン」という画然たる対比意識を抱きながら、われわれ日本人は生活しているわけではありません。伝統的空気とモダンなるものとのやわらかな混肴。私自身、そうした一種曖昧な心地よさを含んだニッポンの空気を時に疎ましく感じながらも、制作をつづけているというわけです。

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